5分以内で読めるショート・ホラー集
聞いた住所を頼りにコールセンターへと向かった。
メガネをかけた知的そうな男性が個室へ案内してくれた。

指定された通り、映像を持ってきた。
「今後どう上司に対抗していくか、となったときに重要なものです。
被害と向き合うのはお辛いとは思いますが、確認してもよろしいでしょうか」

そう聞かれ、私は頷いた。
彼はパソコンで映像データを開いた。

彼はじっと、昨日起こった事態を眺めていた。
「これは……酷いですね。明白な犯罪行為ですよ、これ。
あなたがいくら抵抗しても、まったく止める様子がない。
いるんですよね、こういう男。人が嫌がったり苦しがったりする顔に興奮してしまうタイプの。
……あれ?
あ、すみません。映像、ネットに流れちゃいました」

え?

私は、耳を疑った?
どういうこと?
映像が、ネットに流れた?

「すみません、人気のエロ動画サイトにこの映像、勝手に投稿されちゃったみたいです。最近、パソコンの調子が悪いんですよね。
凄い勢いで拡散されそうです。なにせ、本物のレイプ映像ですからね」

何を言ってるんだ、この人は?

しかも、コーヒーを啜りながら澄ました顔を保っている。

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