元姫は辛くても笑う
「ちょっとまって!」
血が出ていない方の腕を掴まれる。
ま、まさか……バレた?
「……」
「軽く手当するよ。」
「え、いや別に………」
大丈夫と、断ろうという前に手を引っ張られていく。
……な、なんでわざわざ………。
これくらい平気なのに。
ついたのは、人が全然いない1つの部屋。
ここ、会場から離れてるけど大丈夫なの?
「すみません庇ってもらって……」
「あ、いえ!私が勝手にしたことなので……気にしないでください。」
「……」
「……」
話すことがなくて、ドギマギする。
……、もしかして……、
祐飛って案外優しい?……意外だ………
それは失礼か……失敬失敬。
何も喋らないでいると、祐飛は手当を始めた。テキパキと、慣れている手つきで。
「どうして庇ってくれたんですか?」
「え……えっと………どうしてでしょう?」
そんな質問されるとは思ってなかったから、返事に困る……。
「こ、困ってたから?」
私がそう言うと、はぁー、とため息をつき、こっちを見る。……?
その顔はさっきみたいな上面の笑みではなく。
いつも、見てきた祐飛の顔。
少し退屈してそうな……そんな顔。
「違うでしょ?罪をかんじてるから。」
!!