元姫は辛くても笑う

「ちょ、大地君怖いよ……」

「は?この中で一番強い莉……」

「ちょ!?先輩!……シーっですよ!」


小さな声で注意すると、近すぎたせいか、バッと、離れる十夜先輩。


「十夜〜後輩と何いちゃついてんの?」

「葉月……黙れ。」

「おい、十夜殺すぞ。」


怖いですって……。
でも、、いつの間にかこの空気は笑いに包まれていた。
もしかして、わざとしてくれたのかな?

十夜先輩に抱きつく。


「っ…!」

「ありがとうございます。」

「あ〜!十夜に持ってかれた〜」

「隼黙れ。」


はぁ……ずっとこうやって楽しくしていたい。

本気でそう願った。

だって、今日は……嫌なことが立て続けにあるから。

その後、いつもの家には帰らなかった。


ガチャッ!


嫌だな……、
中に入ると今日は玄関にいた。
……お母さんが。


「おかえり。着替えて。今日は如月のパーティーがあるの。一言喋って頂戴」

「わかった。」


また……か。


「あ、莉子!!お帰り〜」

< 99 / 122 >

この作品をシェア

pagetop