愛してると3回言って
着替え終わると、もう既に終えていた楠木さんに声をかける。


「あの、終わりました」

「うん……」

「楠木さん?」

「あぁごめん。えっと……なんだっけ?」


楠木さんの最初の印象は話しやすいだった。

人当たりもいいし、仕事も難なくこなすし、彼の周りには自然と人が集まる。

そういった感じの人だ。

なので、言葉に詰まって軽く動揺している(ように見える)彼を見るのは新鮮だった。

少なくとも私はそんな姿を見たことがなかった。


「ひとまず、ここどこですか?」


着替えも終わったことだし、そのままベットの上にいるわけにもいかないので、近くのソファーに腰かけたのだが。

見たことのない真っ白な天井。

小綺麗で程よく生活感のある部屋。

私はここがホテルには見えなかった。
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