愛してると3回言って
「こんな風に一緒食事をして、他愛のない話をするのが、すごくいいなと思った」

「……で、でも」


確かに私も楽しいとは思った。

思ったけども。


「だから、これっきりにしたくない」


そういう楠木さんの表情は真剣そのものだった。


「もっと知りたいし、理解したい。そして俺の事も知って欲しい」


ドクンと心臓がはねた。

こんなにもストレートに私のことを知りたい、理解したいと言ってきた人はいただろうか?

互いに好きという気持ちをぶつけ合っていただけではないだろうか?

自分の気持ちだけ押し付けて、相手のことを理解しようとしていただろうか?

理解しようとしてくれる彼から目をそらしていいのだろうか。

私は思考をフル回転させていた。


そしてふと、夏子から言われたある言葉を思い出す。
< 39 / 62 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop