愛してると3回言って
「え?」

「ちょっと……口元押さえてないと、さらににやけそうで」


楠木さんは全く引いてなかった。

それどころか私の目には彼が嬉しそうに見える。

今の話で嬉しくなるところがあっただろうか。

何が彼をそうさせたのかじーっと顔を見つめながら考えていると、パチッと目が合う。


「は、恥ずかしいからあんまり見ないで」


今度は少し恥ずかしそうだ。

見たことのないレア顔に自然と笑みがこぼれる。


「楠木さんでもそんな顔するんですね」

「そりゃするよ!気になっている子がいい返事してくれるんだし!……あ」


やばいとブツブツ呟きながら、楠木さんは再び口を手で押さえる。

今の何気ない一言の意味を理解した瞬間、全身がどくんと脈打つ心臓のように飛び跳ねた。
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