real face

ボーイズトーク  ※佐伯翔真視点

今日もシャ食は大盛況。
男3人で昼食を摂りながら、話が止まらない。
そりゃそうだろ、修とは6年振りの再会なんだから。

「ホントにこれって社食のメニューなのかよ。レストラン並みじゃん。流石天下のシャイニングだな。そりゃ社員じゃなくても食べにくるよな」

「社食、じゃなくて"シャ食"だけどな。しかし俺にも黙ってるなんて酷くないか?帰って来るなら先に言っとけよ!」

そっか、やっぱり課長も知らなかったんだな。

「悪いな兄貴。サプライズだよ、ビックリしただろ?翔が兄貴の部下になってるとはな。そっちこそサプライズじゃねぇか」

「俺は何回か電話したぞ。出なかったのはお前だろ?相変わらず忙しそうで何よりだな」

コイツとは何故か昔からメールすることがない。
連絡取り合う時はいつも電話。
しかしお互いタイミングが悪く、着信履歴だけが虚しく残っているという有り様だ。

「修一、まひろに会えなくて残念だったな」

「どうせあと2週間で帰ってくる。6年待ったんだからなんてことないさ。兄貴にしてやられた感は否めないけど。翔、まひろの仕事ぶりはどうだ?」

「蘭さんは優秀だよ。彼女とコンビ組んでから仕事が捗るし、やり易い。ひとりでやってた頃より効率が上がるなんて経験は初めてだ」

何か言いたげな課長の視線を感じるが、とりあえずスルーしておこう。

「そうかそれは良かった。仕事上ではいい関係ってことだな。兄貴は有能な部下を持って幸せだな」

「そうだな。ところで、実家に帰るつもりなのか?」

「母さんが帰ってこいって。部屋も空いてるし、それになにより実家だと近いからな」

何処に?
勤務先の蘭会計事務所ってことか。

「叔父さんの事務所はそんなに近くないだろ?どっちかと言えば俺のマンションの方が近いぞ」

「そうじゃねえよ。分かってんだろ兄貴」

「修一お前まさか、まだまひろのことを……」

「当然だろ、この寒がりの俺が極寒の地で6年もまひろに会えずに耐えたんだぞ。もう遠慮なんてしない。公認会計士の資格を取って、いろんな条件もクリアしたんだ。やっと、アイツを守ってやれる男になれたと思う」

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