ディモルフォセカの涙
 実花さんを見た彼方の強い眼差し、私と繋ぐ手に力を籠める彼方。


「あっ、ミカさん
 この間の、ほらっ、靴の」

「ああ、あの時、確か居たね」


 『……誰?』----会場の外で私と実花さんが一緒にいたところを彼方も見てた。


「はい!サンガミカと言います
 あなたはユウさんの彼氏さんですか?」

「ち(がう)……」

「そうだけど」


 私の声に被さる彼方の低い声----何言いだすの。ドキドキする、私の胸。彼方の返答に気が動転している私とは違い、彼方はいつもどおり呼吸一つ乱さずに落ち着いている。


「ちょっカナタ、違うでしょ
 何言ってるのよ、もう

 彼、いとこなの」

「いとこ、そうなんだ
 そう言えば雰囲気似てる」

「似てない!」


 そう気怠そうに言う彼方を、じーっと見つめて実花さんは言う。


「似てるよ二人は

 放つオーラがものすごく似てる

 あっ、お揃いの指輪してる」


 私の左手、中指にある指輪に触れようとした実花さんの指先。


「触るな」


 低く冷めた声でそう言い放つ彼方の視線はとても冷たく、実花さんを突き刺す。


「ちょっと、カナタッ、ごめんなさい
 彼、お腹空いてると不機嫌なの

 じゃあ、私達はこれで失礼します

 カナタ、行こう」
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