飛び降りて、一緒に死のっか。
「うん」
それしか、言えなかった。それだけで、じゅうぶんだった。
「なに泣いてるの――?」
穏やかで、優しくて、あたたかい。ねぇ、どうして。どうして緑も、素敵な愛はもらえなかったんだろうね――。
私は、出来の悪い子だから、愛されなかったけれど……緑は、違うのに。
「和嘉乃。俺、和嘉乃と逢えてよかった」
「わ、私……も……っ」
どくどく、止まらない。それでも、よかった。
ぬぐってくれた彼の親指があたたかくて、ぬるくて、すきだと思った。
「すきだよ、緑。……ね、」
さっきぬぐってくれた、左手。繋がれている、右手。同じ緑の手なのに、右手の方が震えていて……。
「俺もすき」
その瞬間、ぴたりと彼の震えは止まった。
「愛っていいね」
「そうだね」
結ばれた指先が、じんと熱くなった。ぎゅっと、固く、強く……。
「「“せーの”」」
END.


