飛び降りて、一緒に死のっか。



「……ねぇ。受け取るって?」

「んー」



光が、ふっと消えた。雲の仕業か。最期くらい、光をあててよ。

彼の瞳の色も、ミドリイロでなくなった。すごく深い黒。……茶色?

よく、みえない。

深くて、暗い、瞳。……それも、みえなくなった。彼がまぶたを閉じて、角度を変えて私に顔を寄せたから。

綺麗な、長いまつげ。そう思いながら、私も瞳を閉じた。



「……ん」

「ん」



離れ、お互いの顔をまじまじとみつめ合う。私の声のあと、彼が重ねてささやいた。



「……うん、いこっか」

「そうだね」



それから私たちは、どちらからともなく、手を繋いだ。



「さっきの答えね」

「……さっき?」

「そう。悲しくはないよ。でも、虚しい。

世界って綺麗だな。愛って切ないな。……和嘉乃って、素敵だな。

それら全部を思って、それら全部が俺のものにはならなくて、俺はきっとずっと虚しい。憎らしい」



絡ませていた視線は、彼がゆっくりと端を向いたことで、ほどけた。
< 8 / 9 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop