セカンドラブは魔法の味

 幸弥が遅くまで自室で仕事をしていると。

 ドサッ! と、落ちる音がした。


 驚いて、幸弥は仕事の手を止め様子を見に行った。



 すると。

 階段の下で転んで泣いている涼子がいた。

「涼子! どうしたんだ? 」



 幸弥が駆け寄ると、涼子は痛みで泣いていた。


「大丈夫か? 涼子」 

「痛い・・・痛いよ! 」

 状況から見て、階段から落ちたようだ。


「どこが痛い? 」

「足・・・痛くて動けない・・・」


 泣きながら涼子が言った。


「とりあえず病院に行こう、ちょっと待ってて」


 

 幸弥は車で涼子を病院に連れてゆく事にした。





 光友総合病院。

 深夜にも関わらず、バタバタとしていて患者も多くいる。

 順番待ちする事2時間近く。

 ようやく順番が回ってきて涼子が診察してもらえたのは、深夜1時を回っていた。


 研修医らしき男性医師が担当して、レントゲンをとった結果。

 涼子は右足を骨折してた。

 左足の脛部分と足首を骨折しているため、2週間入院する事になった涼子。


 ギプスて固定されていて、身動きが取れない涼子に、幸弥は一晩付き添う事にした。

 明日は仕事がある為、茜に連絡して、昼間は交代してもらう事になった。


「お父さん、ごめんなさい。お仕事大変なのに」

 涼子が申し訳なさそうに謝ると、幸弥はそっと頭を撫でた。

「心配しなくていいよ、昼間はおばあちゃんが来てくれるから大丈夫。ここの所、涼子とゆっくり過ごせなかったからね。2週間くらい、ゆっくり過ごしてもいいと思うよ」

「有難うお父さん」

 
 コンコン。

「失礼します」

 担当した男性医師がやって来た。


「痛みはありませんか? 」

 優しい男性医師が尋ねると、涼子はこくりと頷いた。


「しばらく痛みが強いと思いますので、痛み止めを処方しておきます。一度飲んだら、3時間以上は間を開けて下さい。明日の朝、担当医師が来ますので、またご挨拶に伺います。今夜は、ゆっくり休んで下さい」

「担当の先生は、どなたですか? 」


 幸弥が尋ねると、男性医師は枕元に担当医師の名前が入ったプレートを付けた。

 その名前を見て、幸弥は驚いた目をしたが、すぐさま嬉しそうに微笑んだ。
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