セカンドラブは魔法の味

 茜が帰った後、どこか元気がない幸弥を見て、涼子は何かを感じているようだ。


「お父さん、心優先生に会ったでしょう? 」

「え? なんで、解るんだ? 」

「解るよ。心優先生に会ったお父さん、すっごくハートが喜んでいるから。でも今日は、ちょっとショック受けているんだね。何か言われたの? 」

「いいや、別に何もないよ」


 そう答える幸弥を、涼子はじっと見ていた。


「ねぇお父さん。どうして、心優先生があんな大きなマスクつけて。ボサボサな髪で顔を隠しているのか、解る? 」

「うん・・・。何となく感じていたけど、何か見せたくないものがるのは解るよ。怪我でもしているのかもしれないね」


「怪我じゃないよ。火傷の跡があるんだよ」

「火傷? 」


 涼子は怪我をしている足に触れた。


「心優先生を始めて見た時、炎が見えたの。すごく燃え盛る炎に、小さい頃の心優先生が包まれていて。ずっと小さく、膝を抱えていたのが見えたの」

「炎? もしかして、火事か何かかい? 」

「きっとそう。ずっと、心優先生の傍にお父さんらしい人が着いてて、見守っているの。そして少し高いところでお母さんも見ている。・・・多分、お父さんは火事で亡くなっていると思うよ。お母さんは、ここ10年以内に亡くなっているよ、病気で」

「それでかな? 先生から、強く護られているエネルギーを感じていたんだ」

「うん。心優先生自身が、自分を守る事に必死だからよけいだと思うよ。でも・・・お父さんに会うと、心優先生優しくなるんだよ。すごい優しいエネルギーが、伝わってくるから解るの」


 言われてみれば、目はきつい目をしていても、心優はどこか悲しそうで・・・


「それでか・・・。あんな事言ってたのは・・・」

「あんな事って? 」

「先生が、お母さんを殺したって言ってきて。二度と近づくなって、言われてしまったんだ」

「ああ、そんな事言ったの? 心優先生、そう思い込んでいるから。きっと、悲しかったんだと思うよ。心優先生の中に、お母さんのエネルギーがあるから」



 そう言われてみれば。
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