セカンドラブは魔法の味
その後に何か言っていたが、幸弥は今は思い出せないままだった。
「ハルが殺されたなんて、それはありえない。・・・なんで・・・あんな言い方を・・・」
幸弥は突き放した心優が、とても悲しそうで胸が痛んでいた。
春子を殺したとまで言って突き放す心優。
でも心優からは
「あんたなんか嫌い」
とは、聞かなかった。
嫌ならそのくらいは言いそうな性格だ。
だが「嫌い」とは言わない。
いつも自分を否定する言葉ばかりで・・・。
しばらく佇んでいた幸弥がようやく歩き出した。
酷い言葉を言われても心優の事を気になるばかりで・・・。
避けられても想いは募るばかり。
病室にやってきた幸弥。
「おかえりなさい、幸弥」
「おかえりなさい、お父さん」
茜と涼子が声をかけると、幸弥は何時ものように笑った。
「ごめん、遅くなって」
「大丈夫よ、仕事の帰りだから大変よね。もういいの? 」
「ああ、大丈夫だよ。後は僕が見ているから。ありがとう、母さん」