セカンドラブは魔法の味

「心優さん・・・」


 幸弥に名前を呼ばれると、心優の胸が大きく高鳴った。


「最後に、貴女のバラバラになっていた魂を。光に返して、貴女の下に返してもいいですか? 」

「は・・・はい・・・」


 心優が返事をすると。

 幸弥はそっと心優の顎をとった。

 そして、優しく見つめると、心優のマスクを外した。


 マスクの下は目元の火傷より酷い跡が残っている。

 その跡に触れ、幸弥はそっと心優の唇にキスをした。


 キスをされると、今までに感じたことがない暖かさを感じて心優は驚いた。


 暖かさは、頭のてっぺんからスーッと心優にい降りてくるように入ってきた。


 すると・・・

 大きな光が心優を包んだ。



 神々しく優しい光に包まれると、心優の内側にあった頑なな気持ちが緩くなってゆき、なんだか全てが許せるような気持ちになってきた。


 キスは深くなり、口の中が幸弥で一杯になるくらいだった。



 光が収まると、幸弥の唇がゆっくり離れた。


「もう戻りましたよ。貴女が置いて来てしまった、大切な魂の欠片を光に返して、貴女の下に戻しました。もう、ハルの中にもどこにも、貴女の魂は残っていません。貴女だけの、エネルギーで満タンにしましたから」


 そう言って幸弥は満足そうに頷いた。

「心優さん。とっても綺麗ですね」

「え? 」

 
 驚く心優は、幸弥が何を言っているのか理解できなかった。


「もういいですよ。ハルが全部持って行って、光に返してくれました。何も心配しないで下さい」


 幸弥はそっと、心優の手を握った。


「さっ、行きましょう。もうお参りは済みましたから」

「は、はい・・・」


 幸弥は心優の手を握って歩き始めた。



 ヒラヒラと、京坂家のお墓に綺麗な緑の葉っぱが落ちてきた。

 その葉っぱはとても輝いていた・・・。

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