セカンドラブは魔法の味


「あれ? 火傷の跡、消えたのか? 」


 尋ねられると、心優はクスっと笑った。


「消えたのかどうか、分かりません。でも、もうどうでもいいんです。どんな自分でも、認めてあげようって決めたので」

「そうか。お前が最近変わったのは、それだったのか」

「変わったのかどうかなんて、私にも判りません。ただ、生きていて良かったと思うだけですから」


 それだけ言うと、心優は去って行った。


 秀樹は完全にフラれてしまったと思った。



 

 心優が病院の門から出てくると。

「心優さん」


 幸弥が待っていた。

 いつもの優しい笑顔で手を振る幸弥を見ると、心優の胸がキュンと鳴った。


「もう、お仕事終わったかい? 」

「はい・・・」


 俯き加減で答える心優に、幸弥はそっと手を差し出した。


「じゃあ、行こう。夕飯まだでしょう? 」

「あ・・・でも・・・」

「なんで遠慮しているの? それに、もう病院出たならマスク外していいんじゃない? 」

「いえ・・・まだ、誰に会うか分かりませんから」

「そっか」


 幸弥は心優のてをギュッと握って歩き出した。



 握ってくれる幸弥の大きくて、温かい手を感じると心優はとてもホットさせられる。

 
 できればこの手を・・・ずっと離さないで欲しい・・・

 心優はそう思った。

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