セカンドラブは魔法の味

「すみません、信号見落としました。ちょっと外見てきますので、お待ち下さい」


 ハザードランプをつけて、タクシーの運転手は降りて行った。


 なんとなく気になった幸弥は、外の様子を伺った。

 
 誰かが倒れている様子がみえて、驚いて幸弥はタクシーから降りて様子を見た。



「大丈夫ですか? 」

 運転手が声をかけると、倒れていた人は起き上がり立ちあがった。


 背の高い女性。

 大きなマスクをつけていて、ボブヘヤーで顔が隠れている。

 前髪は長めで、左側は完全に隠れている。


「怪我はありませんか? 」

「別に・・・何ともないから・・・」

 ぶっきらぼうに答える女性。

「一応病院に行きましょう。後から何かあっては、大変ですから」

「大丈夫って言ってる! もういいから! 」

 半分怒っているような口調で、女性は去って行こうとした。


「待って下さい! 」

 そっと、女性の手を掴んで幸弥が呼び止めた。


 ん? と、女性は幸弥を見た。

 
 片目だけで見られて、どこか威圧を感じた女性の目。

 だが幸弥は・・・


「お願いします。ちゃんと、病院に行って下さい。どこか、怪我しているといけませんから」

 なんとなく幸弥は女性が気になった。

 だが・・・


「なんともないって言ってる! なんでそんなに、しつこいんだよ! 」

 と、乱暴な口調で言い放った女性。

 だが、幸弥の手を振り払おうとした瞬間。

 女性は痛そうに腕を押さえた。
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