婚前溺愛~一夜の過ちから夫婦はじめます~
「どこでもいいんだよ? 里桜の行きたいところ。どんな候補が上がったの?」
「えっと……ちょうど昨日、テレビ見ていたら水族館の特集していたので、行ってみたいなって。クラゲがすごく綺麗で」
「クラゲ? へぇ、それは見てみたいね」
私との会話をしながらも、ちゃんとカメラマンさんの指示を受けて撮影には対応していく貴晴さん。でも、あくまで自然に動いていく。
「夜の水族館ってデートにいいって聞くもんね。じゃあ、このあと行ってみる?」
「え、いいんですか?」
「うん、もちろん。里桜が行ってみたいところ、俺も一緒に行ってみたいし」
「やったぁ! ありがとうございます」
提案してみたことをすんなり受け入れてもらって、つい笑みがこぼれてしまう。
「まったく、可愛いな」
浮かれる私を見て、貴晴さんは唇に笑みを載せる。
「――はい、オッケーです。お疲れ様でした」
そうこうしているうちに撮影が終了した声がカメラマンさんからかけられていた。