婚前溺愛~一夜の過ちから夫婦はじめます~


 夢のような撮影を終え、支度を済ませると、貴晴さんは予定通り横浜の水族館に向かって首都高速道路に入った。


「あの、疲れていませんか? こんな急に遠出させてしまって……」

「全然。むしろ楽しいよ。里桜とデートできるんだから」


〝デート〟……。その響きに鼓動が跳ねる。

 これまで、デートというデートの経験はない。

 学生の頃、誘われて男女数人のグループで遊びに行ったりしたことはあるけれど、それはデートとは言わないと思う。

 男性とふたりきりでどこかそれらしい場所に遊びに行くのは初めてのことだ。


「里桜は水族館は? 久しぶり?」

「はい。中学生ぶり……くらいかもしれません」

「そっか。俺も水族館なんて相当行ってないな」

「そうなんですか?」

「うん。だから楽しみだよ」


 意外な回答……。貴晴さんこそ、デートとかで訪れてると思ったんだけど……。

 そんなことを思うと、きっと今までたくさんの女性といろいろなところにデートに行ったんじゃないかな、と考えてしまう。

 余計な妄想が膨らみ始めると気持ちが沈んでいきそうな気がして、それ以上考えることを強制終了した。

< 165 / 223 >

この作品をシェア

pagetop