365枚のラブレター

(歩side)

誕生日、尊兄ちゃんに会うって言った嘘が、
クララにばれてるんだろうな・・・



それからまだ俺は
クララに会っていない



土日に、遊園地のバイトを始めた俺は
お客さんがこない射的コーナーで
ボーっとクララのことを考えていた



俺は今でもクララが好きだ



学校の勉強やバイトにも一生懸命で
つかれているはずなのに
俺に泣き言を言わず頑張っている



クラスメイトの良いところを見つけては
素敵ね!って褒める



そして
誰にでも優しい



でも、俺が求めているのは
そんなことじゃなくて

バイトや勉強が大変って俺に甘えたり
頼ったりして欲しくて


他の奴の良いとこより
おれのことだけ褒めてほしくて


優しくするのも
俺だけにしてほしい



だから
思ってはいけないことを思ってしまう



『紗耶香だったら
 俺だけを見てくれるのに』って



「あゆ君!」



え?紗耶香???



「あゆ君のバイト姿を見たくて
 来ちゃった!!」



紗耶香のそういうところ
かわいいなって思ってしまう・・・



俺に会いに
バイト先まで来てくれるんだもんな・・・



「バイトもうすぐ終わりでしょ
 そしたらお願い!一緒に観覧車に乗って」



観覧車・・・



前にクララと話したことがあったな・・・



いつか二人で
観覧車に乗ろうって・・・



俺はクララを
幸せにしなければいけない義務がある



クララと永遠の愛を誓って
ずっと一緒に生きていくって
自分で決めたこと



でも
いつからか
その約束が太いロープとなって
俺の首を絞めてくる



本当にクララでいいのか・・・



クララが好きなんじゃなくて
永遠の愛を誓わないとクララが消えるから
好きだって思い込んでいるんじゃないのか・・・



本当は今目の前にいて
俺だけを見てくれる紗耶香が
好きなんじゃないのか・・・



俺は・・・

紗耶香と一緒に・・・

観覧車に乗ってしまった・・・





そして
1周まわって
観覧車を降りる頃には

紗耶香を好きになっていた・・・

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