365枚のラブレター
    
(クララside)

『あゆむ君に
 あんなこと言いたくなかったのに・・・』



今朝の公園で
歩君と言い合いになったことを思い出すと
涙が出そうになる



「舞ちゃん・・・私、保健室に行ってくる・・・」
「文化祭始まっちゃうけど、どうした?気分でも悪い?」
「ううん。ただの寝不足」
歩君と顔を合わせたくない私は、
保健室に逃げ込んだ

午後になり
舞が保健室にやってきた



「まだ寝てるの?体育館行くよ!」



「え?」



「美男美女コンテストに歩君が出るんでしょ!

 応援に行かなきゃ!
 はい!起きる!」



ガバッっと布団をはぎ取られ
体育館まで強制連行された



学年ごとに
美男美女を決めるこのコンテスト



生徒全員の事前投票で決められる



「2年のグランプリは

 男子・高杉歩君! 

 女子・羽月紗耶香さん!」



キャーーーーー



女子たちの黄色い声が
体育館中に響き渡っている



歩君って
やっぱり女子たちに人気だったんだね



私なんかの彼氏じゃ
もったいないのかもね



「それではここで
 2年のグランプリの二人から
 一言言お願いします

 まずは羽月さん」



「はい!

 投票してくれた皆さん
 本当にありがとうございます

 大好きなあゆ君とグランプリになれて
 本当に嬉しいです」



紗耶香さんって素直だな・・・



そういうところを
歩君も好きになったんだろうな・・・



「2年3組、天宮クララさん」



え?私??



急にマイクで名指しされ
皆がざわざわしながら、私を見た



「私
 あゆ君のことが本当に好きなんです!

 あゆ君も
 好きって言ってくれました

 でも
 クララさんがいるから付き合えないって

 だからあゆ君と別れてください!!
 お願いします」



みんなが一斉に、私の方を見た



どうしよう・・・

何か言わなきゃ!



でも、本当に歩君と別れたくない!



大好きなんだもん!

すっと一緒にいたいんだもん!



「両想いなのに
 クララさんが別れてくれないから
 付き合えないらしいよ」


「それってひどくない?」


「あの子、紗耶香に勝てると思ってるのかね?」



周りの声が
私の心を
尖ったナイフでズブズブ突き刺してくる



そうだね・・・

みんなの言う通りだね。



どれだけ私が歩君のことが好きで
1か月後に永遠を誓わないと
私が消えるとしても

歩君を繋ぎ止めていいはずがない



もう歩君は
私より紗耶香さんを
好きになってしまったんだから



「舞ちゃん、私、嫌な女だね・・・」



「そんなことない!
 クララは全く悪くないでしょ!」



「私、行ってくるね」



「ダメ!絶対ダメ!

 歩君と別れちゃダメだってば!」



必死に止める舞ちゃんを振り切って
ステージ前に向かった



私は
ステージの上にいる歩君の前まで行くと
見上げながら言った



「紗耶香さんが好きなことを知ってたのに
 別れなくてごめんね

 歩君・・・

 バイバイ・・・」



私は精いっぱいの笑顔で言うと
チャペルで歩君にもらった
指輪をステージに置き
走って出口へ向かった



「あゆ君、付き合ってくれるよね」



「・・・・ああ」



キャーーーーー



祝福の拍手で包まれた体育館



私の恋が
完全に終わった瞬間だった

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