「ひねくれモノめッ!」
「ふっ・・・」
悦に浸っていたら、鼻で笑われた。
おい、何笑っとんじゃと睨んで見れば、彼はさっきまで落ち込んでいたのが嘘のような、まるで神秘的な月の様な美しい顔で、
「睨むなよ。嬉しかったんだ、美味そうに食ってくれて。」
と、微笑んだ。
やばい。こいつ顔が良いにも程がある。
内心久々に見るイケメンに慌てる私をよそに、彼は続ける。
「実はこのカフェ業態、俺の提案なんだ。」
「は??」
「言ったろ?その、俺を見て欲しくて、色々やったって。そのひとつが、業態起こし。企画、立案、事業計画に商品開発、人材派遣も俺が見よう見まねでやって完成した店なんだ。だから、喜ばれると嬉しくて」
「まって。待って待って待って!!業態起こし?見よう見まね?意味がわからん!国山クン高2だよね!?」
キャパオーバーがオーバーオーバーした。
意味がわからんのひとことだ。漫画かよ。
いや待て、まだ本当だとは確定していない。まだハッタリの可能性が・・・!!
「弘でいいって言ってるだろ。コーヒー、お代りいるか?」
「いただきます。」
「ふっ、そこは即答なのか。西辻さん、ブレンドを2つ頼む。」
「はい、弘さん。少々お待ちくださいね。」
西辻さんと呼ばれた初老の男性は、ここのマスターだろうか。
丁寧な仕草で、まるで国山クンに敬意を払うかの様な・・・
敬意・・・
あーダメだこれ。
多分社長云々全部真実だなーこれ。
孤独なイケメン高校生実業家()とか設定盛りすぎーー。
「現実離れが過ぎていっそウケる〜」
「ウケてるとこ悪いが話を続けるぞ?」
国山クンは現実逃避の時間をくれなかった。