「ひねくれモノめッ!」

ご飯を食べ終わった後、私も用意をして家を出る。
車のある地下までエレベーターで移動し、車を見て驚愕した。

ガチでアコードだ。綺麗な蒼色のアコード。
ピカピカの車体に勿論傷は無い。
黒で統一された内装、革張りのシートが輪をかけて高級感を演出している。
ハイブリッドォ・・・

「すげぇ・・・」
「そうか?」
「もうヒロさんに驚かないって思ってたけど、まだまだ驚くわ・・・」
「そうか??」

とりあえず乗り込む。
エンジンが静かにかかる。
・・・分かっちゃいたけど、だいぶ運転の感覚が違いそうだなぁ。

「大丈夫か?」
「あ、ごめん。色々確認してた。今出すね。」
「ゆっくりで構わない。まだ時間に余裕はあるからな。」
「ありがとう。もう大丈夫。多分。」
「多分かよ。」

昨日のうちに、地図は確認したものの、細かい道は国山クンに教えて貰いながら、高校を目指す。
運転にも慣れた頃には、学校が見えてきた。

「ここで良い。」
「そう?」
「校門近くで降りると目立つから。」

変なとこで常識的だな!!

「了解。帰りは何時ぐらい?」
「帰りは雨が降らない限り、自分で店に行く。気にしなくていい。」
「そう?迷子にならないの?大丈夫?」
「なるか!」

怒られてしまった。

「西辻さんの店・・・フェリシア本店の駐車場は、店の正面にある公園の反対側だ。すぐ分かる。」
「了解っす」
「ここからの道は分かるか?」
「大丈夫。一応昨日シュミレーションしたから。」
「まじでワークホリックか」
「仕事に真面目と言ってくれる?ほら、こっちの心配してないで行った行った。」
「・・・鍵開けろよ。」
「えっ。ごめん。」

これは完全に失念してた。
慌てて解錠のボタンを押す。

「はいよ。行ってらっしゃい。」
「!」

声をかけると、国山クンはすごくびっくりした顔をしたのがバックミラー越しに見える。
少し間を置いて、柔らかい笑みで

「行ってきます。」

と、返してくれた。

しつこい様だが、ホントにこの人、顔が良い。
ちょっとだけ、自分の顔が赤くなった気がした。
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