「ひねくれモノめッ!」
しばらく来店が無く(珍しいそうだ)、事務所でわちゃわちゃしていると、裏口(さっき教えて貰った)から国山クンがやってきた。
「ハッ!弘さぁん!」
「おはよう、菅生さん」
「おはようございます弘さぁん!」
先程ノブさんが真似た通りに動く菅生ちゃんに若干引いた。
それで良いのか君。
国山クンはさらりと菅生ちゃんを躱し、こちらへやってきた。
「仕事は順調か?桜木さん」
「はい。と、言っても、まだ覚えるだけの作業ですが」
「えぇえ?桜木さんおしゃべりしてただけじゃないですかぁ?お仕事全然してなかったじゃないですかぁ?」
菅生ちゃん、分かりやすく古典的に私を排除しに来た!!
どこの三流悪役だよ!下手な携帯小説でもいないぞそんな奴!
「そうか?秋子さんからは真面目に仕事していると聞いたが。」
「えっ」
「え、ヒロさん秋子さんに会ったんですか?」
秋子さんはランチのピークタイムが終わると、西辻さんと入れ替わりでお帰りになった。
「いや、メールで聞いた。」
「めーる」
「秋子さんはパソコンは苦手だが、携帯のメールは凄い得意なんだ。喋る速度で打てるぞ、あの人。」
「何それすご。」
ローマ字入力が苦手とかだろうか?
まぁ、今後は私がパソコン業務をするから関係ないか。
そんな話をしているとカランコロン、と入店を告げる音がした。
「お客さんだぁー行ってきますぅー」
菅生ちゃんは逃げた。
「逃げたな。」
「逃げたね。」
「逃げたのか?」
器がでかいのか、鈍感なだけなのか、国山クンは菅生ちゃんが逃げたとは思っていない様だった。