一生一緒
昼休み
あっという間にお昼休みになった。




ぼーーっと窓から外を眺め雲の動きを目で追っていた私。




「ねぇねぇ、お昼ご飯一緒に食べない~?」




「一緒に食べようよー。特等席があるんだよー!」




気付けばまたさっきの双子が私の前で話しかけていた。




双子はどちらもオレンジ色の髪に青の瞳をしており、それはカラコンと思われる。





同じクラスなのだから同い年なのだろうけど17歳の男子生徒にしてみれば幼く可愛らしい顔立ち。




私が見つめるとふわりと、同時に笑う。




しかし無表情でそれを見つめてまた視線を雲へと戻す。




「もぅ~~~なんで話してくれないの~~?」




「僕たちのこと知らないのかな?」




「まさか!」




「けど全く話してくれないしー」




しょぼんと落ち込んでいる二人を完全に無視してぼーーっと空を見続ける。




双子はまだ諦めずに私に話しかけており時折机を揺らしたりしてくる。




変わらず完全装備である無表情を顔に張り付け双子の会話を聞き流していると、




「まーだ教室に居たのかよ!もう他は集まってるぜ?何してんだ」




「あ、敏次~!」




最悪……もう一人増えやがった




小さく溜め息をついた。




敏次と呼ばれた男が入って来ただけで同じクラスの女子生徒が悲鳴をあげている。




しかし私は全く興味がないため相変わらず視線は窓の外。




「この子を誘ってたんだよー!」




「だけど全然相手してくれなくてさ~」




と言う双子




「へーー。お前らが興味持つなんて珍しいな」




「「そうかな?」」




「そうだよ」




「だって気になったんだもーん」




お願いだから辞めてくれ……




「……んで?こいつ何なの?」




「転入生だよ。伯さんの身内だって。」




「へーー。」




よっと言って私の前に顔を出す男。




私の視界に空の碧とは違う青が広がった。




これまた整った顔をした男が私を覗き込んでくる。




赤い瞳が私の視線を掴もうとするが私はその視線から逃げた。




「…………へーー。」




敏次と呼ばれた男は私の顔をまじまじと見つめる。




この反応もいつものこと。




私と初対面の人は大抵私をじーーと見つめる。




別に自分のことを不細工だとは思わないが特段美人とも思わない。




何処にでもいる普通の顔だと思うが周りは私の顔が面白いのかずーと見つめてくる。




また溜め息が出た。



「ねぇねぇ君も一緒に行こうよー!僕お腹すいちゃったー」




「僕も僕も~」




さっさと自分達だけでいけばいいだろうが……




何故私に話しかけてくるのか全く分からない。




そんなに新しい生徒が面白いのだろうか。





「もうみんな待ってるし連れていこうぜ、こいつ」




敏次がそう言って私に触れようとした。




パシンっ




乾いた音が一瞬で教室を静寂に包み込む。




私は触れそうになった敏次の手を払いのけていた。




双子も敏次も目を丸くして驚いている。




無表情な瞳で三人を見つめて私はそっと立ち上り教室を出た。




三人は震えている己の体に気付きそっと少女が立ち去ったドアを見つめる。




一人の少女が出すとは到底思えない殺気を感じたからだ。
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