アラフォー×バツ1×IT社長と週末婚
はっきり言って、全く触られる事もないどころか、全く声すら掛けられない。

私の顔を見るなり、ほとんどの部長が、書類をサッと出してくるのだ。

おそらくあれは、内本さんに対してだけの、不器用なスキンシップだったのかもしれない。


「はぁーあ。色気0って、本当に虚しい。」

よくセクハラされるうちが華だ!なんて言うけれど、本当にそうかもしれない。

セクハラなんて、嫌ああ!と叫んでいたけれど、実際そんな心配はなかったようだ。


資料を集めて戻って来たら、社長室に内本さんの姿はなかった。

「あの、内本さんは……」

旦那様である社長に、内本さんの所在を聞くのも、何だか変な気分だ。

「内本君なら、お客様を迎えに行ったよ。」

そう言うと五貴さんは、立ち上がって私の側に、やってきた。

「やっと、つむぎと二人きりになった。」

ぎゅうっと抱きしめられ、今までの文句が、一瞬にして吹き飛ぶ。

「林は、優しくしてくれるかい?」
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