ポンコツ令嬢に転生したら、もふもふから王子のメシウマ嫁に任命されました
そんな私が、生まれ育った領地を飛びだし、初めて王都へ向かう。

わくわく、ドキドキという感情はなく、ひたすら面倒だと思うばかりだ。

「アステリア、あなたも変わっているわね。王都の夜会にイヤイヤ参加するなんて」

「誰もが憧れると、勘違いしてもらっては困るわ」

アストライヤー伯爵家の領地は国境近くにあり、その地を守るよう国王に命じられている。山脈を一歩越えた先は、隣国なのだ。

ゆえに、アストライヤー家の者達は滅多に王都を離れない。結婚相手も、領地まではるばるやってきた者の中から選ぶのだ。

私みたいに、求婚者をもれなく全員一刀両断する娘は歴史上初めてだという。

そんなわけで、父から「結婚相手は王都で見繕ってこい!」と言われてしまったのだけれど。

「アステリアは、どんな人だったら結婚したい?」

「うーん。わかんない」

物心ついたときから、アストライヤー伯爵家の財産目当てにありとあらゆるタイプの男性が大勢押しかけたものだから、いまいちピンとこないのだ。
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