ポンコツ令嬢に転生したら、もふもふから王子のメシウマ嫁に任命されました
「でも、何かあるでしょう? 優しかったり、真面目だったり、寛大だったり」

前世でも、何度かお付き合いしたが、仕事がもっとも大切で、デートの約束をしていたのに、急遽出勤してくれと頼まれたら、彼氏よりも仕事を選んだ。 
「仕事と俺、どっちが大事なんだよ」と詰め寄られた日もあった気がする。私は迷わず、「仕事」と答えていた。

結婚したら、家庭に縛られてしまう。子どもが生まれたら、これまでと同じように働けないことなど、わかりきっていたからだ。

前世の私にとって、料理人の仕事が恋人であり、人生の伴侶だったのだろう。そういえば、しっくりくる。

そのおかげで見事に婚期を逃し、過労死してしまったわけだけれど。

「強いて言うななら、私の人生を邪魔しない人」

「空気みたいな人ってこと?」

「まー、突き詰めればそうかも」

「なんでまた、そんな人を?」

「私の人生は、私のものだから。絶対に、干渉なんてさせないわ」
< 11 / 253 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop