ポンコツ令嬢に転生したら、もふもふから王子のメシウマ嫁に任命されました
はっきり宣言したものの、夢や目標があるわけではない。

生まれ変わった十六年間、アストライヤー家の事情に振り回されっぱなしだった。

「私、王都で暮らしたいわ。家族のせいでいろんな事件に巻き込まれるのは、うんざりよ」

そう答えたら、エリスはポンと手を叩き、嬉しそうに言った。

「だったら、王都に領地が持つお方と結婚しないといけないわね」

「まあ、アステリア。王都が領地って、王族しかいないじゃない」

「王族と結婚だなんて、ありえないから」

エリスは王族について、嬉々とした様子で語る。

一番人気は王太子カイロス、二十五歳。知的なオーラと輝く美貌が貴族令嬢をメロメロにしているらしい。

二番人気は王弟ヘクトル、三十一歳。騎士隊を取りまとめる隊長で、筋骨隆々な身体つきが逞しく、陽気な様子が魅力的な人物だという。

三番人気は第二王子アイオーン、二十二歳。女性に見まがうほどの華やかな容貌で、神官として神殿勤めをしている。俗世には興味がないという敬虔(けいけん)な様子が逆に色っぽいと、囁かれているらしい。

エリスはカイロス殿下のファンで、先ほど土産やでカイロス殿下の顔が描かれたマグカップを買ったようだ。嬉しそうに取り出して私の目の前に差し出してきた。少女漫画のヒーローのような、キラキラのイケメンだった。
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