ポンコツ令嬢に転生したら、もふもふから王子のメシウマ嫁に任命されました
「とんでもないものを見せてしまい、本当に、申し訳なかった」

「いえ。こちらこそ、覗いてしまって、すみません」

「いや、騒ぎになって、よかったのだ」

「どういうことですか?」

カイロス殿下は騒動後、シールドライト伯爵家について調査をしたらしい。

夫の拘束が激しいという話だったが、夫婦の仲は冷め切っているという証言がでてきた。加えて、夫人の浪費のせいで、シールドライト伯爵家は傾きかけているらしい。

夫人は夫より、離縁を提案されていたらしいが、頷かなかったと。

離婚を望んでいたのは夫人ではなく、夫のほうだったようだ。

夫に捨てられる前に、カイロス殿下に乗り換える予定だったと。思い切った鞍替えを思いついたものだ。

だから最後、シールドライト夫人はあっさり去っていたのだろう。

「危うく、引っかかるところだった」

「兄上……」

尊敬していた兄の姿を前に、イクシオン殿下は落胆を隠せない様子だった。

人はそうやって、大人になる。イクシオン殿下、頑張れと心の中で応援した。
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