ポンコツ令嬢に転生したら、もふもふから王子のメシウマ嫁に任命されました
新しく雇った付添人は、エントランスで待ち合わせをするよう話をつけているらしい。上手い具合に合流できたらいいけれど。

そんなことを考えていたが、某有名のテーマパークの新作アトラクションが始まる日のような入場列に並ぶ人々を見て、合流は無理だと思った。

あまりにも、人が多い。こんな規模だなんて、想像もしていなかった。

人込みの中馬車を降り、三歩ほど進んだだけでエリスと離ればなれとなってしまった。まあ、帰る家は一緒だ。そのうち再会できるだろう。

私は受付の列に辛抱強く並び、二時間かかって中へと入れた。

入場まで百二十分とか、某有名テーマパークアトラクションの待ち時間か。長すぎる。

エントランスもぎゅうぎゅうで、まともに身動きが取れない。いったい、付添人はどこにいるのか。困っていたら、声がかかる。

「あんた、あんた!」

「はい?」

「名前は?」

「アステリア・ラ・アストライヤーです。あ、もしかして、私の付添人ですか?」

「ん、まあ……そんなところだね」

 奇跡的に、付添人のご婦人と会うことができた。白髪頭のお婆ちゃんである。

 エリスの母親の知り合いで、今まで百組以上の縁談を結んだ凄腕付添人らしい。

「では、お嬢様。まずは、三番目の孫から、紹介を――ううっ!」

「え、お婆ちゃん、どうしたの?」

「コ、コルセットを、締めすぎた、み、みたいで」

「た、大変!」
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