ポンコツ令嬢に転生したら、もふもふから王子のメシウマ嫁に任命されました
用意された客室で、待機する。イクシオン殿下はリュカオンを胸に抱き、ガクガクと震えていた。

「あれはアステリアの料理と、私の英知が組み合わさった、世界最高・最強の作品だ。他の料理人のありふれた料理なんかに、負けるわけがない」

何やら、おかしなことをブツブツ呟いている。リュカオンも、何やらブツブツ呟いていた。

『正直な話、残りの肉まんは、すべて我のものだと思っていた。まさか、国王の従者にすべて配られるなんて……!』

「リュカオン、帰ったら、肉まんを作ってあげるから」

『ほ、本当か!? アステリアよ、疲れていないのか?』

「平気よ、これくらい」

過労死してしまった前世に比べたら、リュカオンのごはん係のお仕事なんて大した労働ではない。三食昼寝付きで今の待遇を受けるなど、夢のような仕事だ。

『では、肉まんを作ったあとは、イクシオンと共に“バカンス”とやらを取って、“こんぶ”でも獲りに行くとよい!』

なぜ、せっかくのバカンスを昆布取りで消費しなければならないのか。

イクシオン殿下と私が昆布獲りに行く様子を想像したら――意外にも、ちょっとだけ楽しそうだと思ってしまった。
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