ポンコツ令嬢に転生したら、もふもふから王子のメシウマ嫁に任命されました
「アステリア、すまぬ。まだ、“こんぶ”獲りの魔道具は、完成していない」

「いえ、大丈夫。急いで行くようなものでもないし」

それに今は、王族がバカンスを取っている場合ではないだろう。スタンピートの被害で壊滅寸前の村や町が数多くあるという。時間があったら、復興の手伝いをしなければならない。

「それよりも、魔道具のいい着想が思いついたんだけれど」

「何を思いついた?」

「保温器の技術を応用した、料理が冷めないお皿、ってのはどう? 国王夫妻が、毒味を待ったあとの、冷えた料理を食べていたというお話を聞いて、閃いたの。料理が冷えない保温皿があったら、きっと、国王夫妻も喜ぶわ」

「そうだな。いいかも、しれない」

「早く作って、贈りましょうよ」

「しかし、その前に、“こんぶ”獲りを作らなければならない」

「昆布獲りはあとでもいいし、いっそ作らなくてもいいから、保温皿のほうをお願い。保温皿は国王夫妻だけでなく、料理が冷えない鍋とかにして作ったら、他にも需要があると思うの」

 料理を温めるために夫の帰りを夜遅くまで待つ妻の負担が減ったり、露天で買ったスープを温かいまま持って帰れたり。利点は挙げたらキリがないだろう。

「本当に、昆布獲りはいいから、保温皿作りを優先してほしいわ」

「アステリアは、優しいのだな」

「優しいというか……その……まあ……そうね」

そういうことにしておいた。
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