ポンコツ令嬢に転生したら、もふもふから王子のメシウマ嫁に任命されました
無理矢理男女を寝台から退かせ、シーツが汚れていないのを確認し、お婆ちゃんを寝かせた。カーテンを閉め、コルセットを緩めてあげる。

「お婆ちゃん、ほら、コルセットの紐を解いてあげるから」

「やだ、ダメよ」

何がダメなんだ。真顔で問いかける。

「コルセットを脱がすのは、傍付きの侍女か夫でなければならないんだよ」

「はーい、わかりましたー。でも今は適応外です」

そう宣言し、お婆ちゃんのコルセットの紐を問答無用で解く。若い娘が付けているような、ボーンがたくさん入ったコルセットを装着していた。紐を解いてあげると、強(こわ)ばっていた表情は和らいでいく。

優しく布団をかけ、耳元で囁いた。

「ちょっと、ここで休んでいたらいいわ」

「で、でも」

「私は、その辺のサロンとか、適当に覗いていくから」

サロンというのは、小さな規模の社交場と表現すべきか。部屋を借りた者が主人となり、お茶やお菓子をふるまってもてなしてくれる。

サロンは事前招待制で私にも先日、ハルピュイア公爵家のご令嬢から「お暇でしたらどうぞ」というお誘いが届いていた。手紙に挟まれていた白鳥の羽が通行証となっている。
< 20 / 253 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop