ポンコツ令嬢に転生したら、もふもふから王子のメシウマ嫁に任命されました
「しかし、スタンピートが発生した地域の者達は、心と体が疲弊していて、私を見ても反感を抱くかもしれない。だから、アステリアの料理を食べて、元気になって、そしてまた、笑って暮らせる日々を取り戻してほしいと、私は思うのです」

イクシオン殿下の言葉に、うるっと涙ぐんでしまう。魔道具のことばかり考えていた、引きこもり王子の言葉とは思えない。

「それでも――」

国王陛下の表情は険しいまま。やはり、一度誘拐された上に、護衛部隊を持たないイクシオン殿下を心から心配しているのだろう。

「お願いします」

「では、一度この話は持ち帰って」

「今すぐ、行動に移さないと、手遅れになるかもしれないのです」

「イクシオン、こういうことは、すぐに決められないのだ」

「陛下!」

国王陛下は、首を左右に振る。なんだか、このまま却下されそうな気がしてならない。

「陛下、どうか、お願いします。私達に、行かせてください」

「そうは言っても、調査隊の結成にも、時間がかかる」

「陛下!」

どれだけ頼んでも、今すぐ出発するのは難しいようだ。単純な話でないことはわかっていたが、ここまで話が通らないのか。
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