ポンコツ令嬢に転生したら、もふもふから王子のメシウマ嫁に任命されました
シンと静まりかえったので、話題を振ってみた。

「あのー、みなさんは、将来の夢とか、ありますか?」

珍獣を見るような視線が集まった。なんだろう。血統書付きの猫の中に、小汚い野良猫が来てしまったみたいないたたまれなさは。

心が折れそうになったが、情報収集のためだ。気づかない振りをして、小首を傾げる。

最初に答えてくれたのは、小山の大将こと、エレクトラだった。

「わたくしは、立派なお方と結婚し、家をもり立てること、ですわ」

つまらない回答だ。しかし、他のご令嬢も、コクコクと頷いている。

「あの、ご趣味は?」

なんだかお見合いおばさんの質問攻めみたいになっているが、このまま流れていきそうだった。思い切って問いかける。

「演劇鑑賞ですわ」

他のご令嬢も、口々に貴婦人の嗜みを口にする。

ダンスにお茶会、カード、遊戯盤、愛玩動物の飼育、刺繍と、実家の姉二人や母が好むような品のよい趣味を教えてくれた。
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