ポンコツ令嬢に転生したら、もふもふから王子のメシウマ嫁に任命されました
オーナーから私に、一通の遺書が遺されていた。それは、秘伝のソースのレシピだった。誰にも伝授できないと言っていたが、私には伝授してくれた。

暗に、店は任せたとメッセージを遺してくれているような気がして、胸が熱くなる。

そこから、オーナーの息子が経営を引き継ぐこととなった。

その頃の私は、独立もチラリと考えていたが、秘伝のソースは私しか作れなくなってしまったので退職もできず……。

新しいオーナーは元サラリーマン。料理のノウハウはからっきしだった。

経理部にいたらしく、人件費や材料費をかけすぎだと指摘され、従業員の解雇と契約農家の解除を勝手に決定してしまう。

こんな店ではやってられないと、総料理長候補だった三十年選手のスー・シェフが辞めたのは痛手だった。一気に、厨房のバランスは崩れてしまう。

これらは店の内事情で、お客さんはレストランの料理を楽しむために来店している。いつも通り笑顔で、おいしい料理を提供しなければならない。

一日十八時間ほど、ほぼ毎日鍋を振り続けた私は――自分でも驚くほど、あっさり過労死した。
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