ポンコツ令嬢に転生したら、もふもふから王子のメシウマ嫁に任命されました
再び、荷車は動き出す。どうやら、ここに潜伏し続けるしか逃げ切る術はないようだ。

荷車はすぐに停車すると思っていたが、一時間も止まらずに進んでいく。

ゆったりまったり動くので、眠気を誘ってしまう。

うつらうつらと寝かかった瞬間、荷車の動きは停まった。ここは、庭師の家なのか。それとも、物置小屋なのか。庭師に見つかるのを恐れたが、庭師は荷台に触れずに帰って行った。

足音が聞こえなくなったことを確認すると、ふーと息をはく。なんとか助かったようだ。

小汚い布を剝ぎ、外に出る。そこは、物置小屋のようだった。

「うげっ、靴……」

騎士から逃げるのに必死で、途中で靴を池に投げ捨ててしまった。なぜ、あんなことをしてしまったのか。こういう考えなしに直感で行動するところが、領地で『ポンコツ令嬢』と呼ばれてしまう所以なのだろう。

人生二回目でも、根っこの部分はたぶん変わらないのだ。

しかし、靴を履いたままだったら、すぐにお縄に付いていた。あのときの判断は、あながち間違いではなかったと思っている。

怪我はない。逃げ切れた。いいことずくめだ。

侍女が用意してくれていたストッキングはかなり頑丈で、どこも破れていない。生地が裂けていたら、怪我をしていただろう。

このまま帰りたくないが、仕方がない。頑丈なストッキングが、家まで耐えてくれることに期待するしかなかった。
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