ポンコツ令嬢に転生したら、もふもふから王子のメシウマ嫁に任命されました
堂々とした足取りで、歩き始める。

出入り口らしき門は発見できたが、鍵がかかっていた。壁の高さは三メートルほどで、よじ登れるものではない。

踵を返し、別ルートを進む。庭はだだっ広いが、王宮の庭のように美しい花が咲き誇っているわけではない。たまに木々が植えられている以外、芝生が延々と続くばかりだ。

そんな中で、人の話し声を耳にする。

「どうか、頼む!!」

年若い男性の声が聞こえた。そろり、そろりと足音と気配を殺し、近づいてみる。大きな木を陰に、人影を覗き込んだ。

金色の長い髪をベルベットのリボンで結んだ、上等な服を着ている男性が、なんと、驚いたことに土下座をしていたのだ。

「国の危機ゆえ、どうか!!」

誰に何を頼んでいるのか。国の危機とはいったい……?

『そうは言っても、お腹が空いた状態では、守護もできぬ!』

返すのは、幼い子どもの声だった。

どういうことなのか? 身を乗り出したが、今いる角度からは土下座する青年しか見えない。

『そこにおるのは、誰だ!!』

「ひゃあ!!」

弾かれたように、ひれ伏していた男が振り返る。

年頃は二十歳前後か。絹のような金髪に、切れ長の目はエメラルドのごとく。博物館に保管・展示されている石膏像のような恐ろしく整った顔立ちの青年が、驚愕の視線を私に向けていた。
< 33 / 253 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop