ポンコツ令嬢に転生したら、もふもふから王子のメシウマ嫁に任命されました
「そなたは――誰だ?」

「と、通りすがりの、アストライヤー伯爵家の者ですぅ!」

こうなったら、すべての罪を父になすりつける。たぶん、自慢の金で解決してくれるだろう。あとは頼んだ、父上よ。そんな気持ちで、家名を名乗った。

「アストライヤー家? あの、裕福な一家か」

「そうですぅ!」

さすが、アストライヤー家だ。彼らの金持ち伝説は、王都にまで轟いていた。

「なぜ、靴を履いていない?」

「……」

質問に対し、ぎゅっと唇を噛みしめる。

それは、答えることができない。王太子カイロス殿下と色っぽい人妻のいちゃいちゃをうっかり見てしまい、逃亡の途中で靴が邪魔になって池に投げ捨てたなどと、口が裂けても言えなかった。

「怪しい奴め」

「すみません」

否定できなかった。今の私は、全力で怪しいから。
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