ポンコツ令嬢に転生したら、もふもふから王子のメシウマ嫁に任命されました
『よし! では、今すぐ作れ!』

体がふわりと浮く。何回かパチパチと瞳を瞬かせているうちに、景色がガラリと変わった。広い厨房に着地する。空間転移魔法だろう。

空間転移は上位魔法だと聞いたことがある。それを難なく使える子犬は、ものすごい存在なのかもしれない。

「ここが厨房だ。足りないものがあれば、すぐに申せ」

「は、はあ」

調理台が三つあり、その中の一つに銀色の大きな箱が置かれていた。

「あれは何?」

ずいっと前に出てきたのは、美貌の青年だ。なぜか、ドヤ顔である。

「あれは、私が開発した魔道具、“自動調理器”だ」

『“クソメシメーカー”である』

「なんだと!?」

なんでも、材料を入れただけで、自動で皮剝きから味付けまでしてくれる、夢のような魔道具らしい。調理時間も、たった三秒で完成するようだ。

「私の作った素晴らしい調理器を、クソメシメーカーなんぞと呼びよってからに!」

『クソなものを、クソと言って何が悪い。あれで作った料理はすべて不味いのだ』

「単に、お前の好みの問題だろうが」

『そうとも言える。しかし、おいしい料理が食べ放題と聞いて、ここにやってきたのに、クソメシばかり食されてはかなわん』

「こいつ~~!!」

この子犬は、美貌の青年が召喚した精霊だろうか。子どものような幼い声で、よく喋るものだ。

青年は青年で、喋らなければ貴公子然としているのに、喋ったらかなり残念な感じがする。クソだ、クソだと言われて、なんだか気の毒にもなってしまった。
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