ポンコツ令嬢に転生したら、もふもふから王子のメシウマ嫁に任命されました
食堂に行かず、ここで食べるようだ。

子犬は大きく口を開き、肉団子にかぶりついていた。

『う、うまいぞ!! 肉汁がじゅわっと溢れて、口の中で旨味が爆発している!』

口の周りがトマトソースで真っ赤になったが、きれいにするのは食べ終わってからでいいだろう。

続けて、オムライスを頰張る。

『むむっ!?』

トマトスープで炊いたご飯の中には、チーズを入れてある。みょーんと糸を引いて伸びていた。

『なんだ、これは!? チーズが酸味をまろやかにし、さらに味わい深いものにしてくれよる!!』

そこから何も言わずに、無言で食べ続けていた。美貌の青年はハッと我に返り、自らも食べ始める。

オムライスはこの世界にない料理なので、抵抗があったのだろう。しかし、子犬が大絶賛してくれたので、安心したようだ。

肉団子をナイフで半分に切り、ソースに絡めて食べる。

「……おいしい」

今まで無表情か怒る表情ばかりだったが、あわく微笑んだように見えた。

その瞬間、胸が高鳴る。

美貌の青年の笑顔にときめいたのではない。私の料理を食べた人が見せる笑顔を久々に見たので、嬉しくなったのだろう。
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