ポンコツ令嬢に転生したら、もふもふから王子のメシウマ嫁に任命されました
「う……わあ!」

リュカオンはその場に伏せ、ダンディな声で『乗れ』と言った。

「え、乗れって、どこに行くの?」

「そういえば、お披露目があったのだな」

美貌の青年が、ぽつりと呟く。

『お主は我をお披露目するために、我に土下座をしていたのだろうが』

「“おむらいす”とやらがあまりにもおいしく、忘れていた」

『そうだな。“おむらいす”は、我を忘れるおいしさだった』

「オムライスの話で盛り上がっているところに悪いのだけれど、ぜんぜん話についていけないわ」

『よい、とにかく、我に乗るのだ』

「すぐに終わる。手間はかけさせない」

美貌の青年は、なぜか私に手を差し伸べる。

「へ!?」

乗れって、私に言っていたの!?

そう問いかける間もなく、美貌の青年は私を軽々と抱き上げ、リュカオンの背中に横乗りにさせた。自らも、背後に跨がる。

「うわっ、すごく、毛並みがもふもふ」

『好きなだけ、もふもふするとよい』

「あ、ありがとう」

そんな会話をしているうちに、リュカオンの周囲に大きな魔法陣が浮かび上がった。

「あれは……転移魔法!」
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