ポンコツ令嬢に転生したら、もふもふから王子のメシウマ嫁に任命されました
「い、今の、何?」

『契約だ』

「え、なんの!?」

「残念ながら、アストライヤーは聖獣の“ごはん係”に選ばれてしまったようだ」

いつの間にかオムライスを完食した青年が、口元を拭いながら教えてくれる。

「ごはん係って、なんなの!?」

『何、難しいことではない。お主の記憶にあるおいしそうな料理を、我に作るだけでいいのだ。もう、決めた』

「き、決めたって」

『お主がごはん係でいてくれる限り、我はこの国を厄災から守ろうぞ』

「へ!?」

『よいな?』

「え、あ、まあ、はい」

訳もわからないまま、なんとなく返事をしてしまう。

『よし、これで、お主は我のごはん係だ!』

「ごはん係って……」

私が子犬の“ごはん係”に任命されたって?

それよりも、この子犬は、聖獣リュカオンと名乗ったような。

「あ、あなた、聖獣様、なの?」

『さよう! 特別に、真なる姿も見えてやるぞ』

子犬……ではなく、聖獣リュカオンは『わおーん』と鳴く。すると、小さな体が光に包まれた。

子犬の姿から、全長五メートルほどの巨大なオオカミの姿に変化した。

鳴き声も、野太くなる。

大きくなるだけで、神々しい空気を放っていた。先ほど『お腹が空いた!』と叫んで暴れていた子犬と、同じ存在には思えない。
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