ポンコツ令嬢に転生したら、もふもふから王子のメシウマ嫁に任命されました
『おい、メシウマ嫁! 起きたか?』

「嫁じゃなくて、アステリアよ」

『アステリア、早く、ごはんを作れ!』

「はいはい」

寝台の傍にある円卓に、ラッピングされた箱が山積みになっていた。昨晩、誰かが持ってきてくれたのか。爆睡していて、気づかなかった。

カードには、『アステリア嬢へ』と書かれてある。送り主は、イクシオン殿下だ。早速開けてみたら、ドレスが数着と、髪を結ぶリボンに下着、ストッキングなどの小物から化粧品、香水まで入っていた。

まさか、下着まであるなんて……。

『下着まで贈るなんて、変態か?』

「!」

考えていたことを読まれたと思い、リュカオンをジロリと睨む。

『なあ、お主もそう思うだろう?』

「ええ、まあ」

どうやら、脳内を覗かれたのではないようだ。リュカオンは私の記憶の中にある料理を、“視る”ことができる。かと言って、心の声が常に聞こえているわけではないようだ。

『しかし、この用意周到さ。お主を囲い込んで、実家に帰らせるつもりはないのだな』

「それは、困るんだけど」

リュカオンのごはん係をするのはいい。私の作る料理を望んでくれるなんて、嬉しいことだから。でも、一回家に戻って両親に事情を話したい。

このあとイクシオン殿下と拝謁して、抗議活動をしなければ。
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