ポンコツ令嬢に転生したら、もふもふから王子のメシウマ嫁に任命されました
最後に、卵焼きを作る。自動調理器で魚介系の出汁を作成し、溶いた卵と混ぜた。

醤油とみりんが欲しいところだが、残念ながら存在しない。砂糖をひとつまみ入れるだけにした。

一回漉すと、焼き上がりがきれいになる。日本ではおなじみのザルはないので、清潔な布で漉した。

鍋に油を引いて、温度を見定め、卵を流す。じゅわ~と卵が焼けるいい匂いがふんわり漂った。火加減に注意し、丁寧に卵をくるくると巻いていった。

「よし、できた!」

焦げ目のない、きれいなだし巻き卵焼きの完成だ。

個人的には、これに大根おろしを載せて、醤油をちょびっとかけるのが大好物だ。

『アステリア! 我も、大根おろしを載せて、“ショウユ”とやらをかけたものを食べたい!』

「あっ、脳内を勝手に覗いたわね!」

『おいしそうな記憶を思い出したら、勝手に流れてくるようになっているだけだ!』

「どういう仕組みなの、それ?」

まあ、いい。いちいちリュカオンに突っ込んでいたら、疲れてしまう。

「残念だけど、醤油はないの」

リュカオンはしょんぼりする。さすがの私でも、醤油は作れない。

でも、ここの世界は地球と同じような食材がほとんどだし、どこかに醤油を作る技術を持っている国があるかもしれない。

「イクシオン殿下に、醤油がどこかの国にないか、聞いてみるから」

『承知した!』
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