ポンコツ令嬢に転生したら、もふもふから王子のメシウマ嫁に任命されました
リゾットもどきは水分がなくなっている。これに、チーズを入れ、トロトロになるまで煮込んだ。

深皿に盛り付け、黒コショウを少量振りかける。

トマトのリゾットもどきと、ベーコンと野菜のスープ、だし巻き卵焼き。以上の三品で朝食は完成だ。三人分用意し、ワゴンに載せておく。

『よし、では、ポンコツ王子のもとへゆくぞ!』

「ちょっ、食べるのは食堂じゃないの!?」

『移動させるのが面倒だ!』

ワゴンごと転移し、イクシオン殿下の研究室に降り立った。

研究室は図書館レベルの本が並び、だだっ広い空間にテーブルが置かれただけの部屋だった。イクシオン殿下の周囲だけ、書類が落ちていたり、ガラクタのような部品が散らばっていたりする。

「うわっ!!」

朝から研究に没頭していたイクシオン殿下は、転移してきた私達を見て、椅子から転げ落ちて驚いていた。

「あの、イクシオン殿下、大丈夫、ですか?」

「敬称と敬語は必要ないと申しておっただろうが」

転がった姿勢のまま、イクシオン殿下は私に指摘する。尊大な様子で言うのならば、せめて立ち上がってから発言してほしかった。
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