ポンコツ令嬢に転生したら、もふもふから王子のメシウマ嫁に任命されました
「いやしかし、王族相手に、敬語と敬称禁止はきついです」

「昨晩は、普通に喋っていたではないか」

「昨日は、いろいろ混乱していまして……。まさか、王族がこんなにも身近にいるとは思わなかったものですから。大変な失礼を働いてしまいました」

「気にしておらぬと申しているだろうが」

「しかし」

「言うことを聞かないと、立ち上がらんぞ」

そこまで主張するのならばと、態度を改める。

「立て、イクシオン!」

「いきなり偉そうになったな!」

そう叫んで、イクシオン殿下は立ち上がった。

むしゃくしゃした気持ちが高まり、ついつい言葉が悪くなってしまった。しかし、後悔はしていない。

不敬罪で罰せられるかもしれないが、ついでに婚約破棄もできて一石二鳥だろう。しばしの獄中生活くらい、耐えてみせる。

そんな心積もりでいたが――。

「まあ、よい」

いいんかーい。

落胆と同時に、ガクッと肩を落としてしまった。
< 61 / 253 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop