ポンコツ令嬢に転生したら、もふもふから王子のメシウマ嫁に任命されました
食前の祈りを捧げたのちに、食事を始める。リュカオンとイクシオン殿下は、だし巻き卵焼きを食べていた。

『こ、これは!?』

「初めて食した味だ!!」

日本には古くからある家庭的な一品であるが、異世界では珍しいもののようだ。

『なんと表現すればいいのやら。とにかく、おいしい!』

「卵の折り重なった層から、じゅわっと深みのあるスープが溢れでてくる。なんだ、この旨味が圧縮された、卵の層は!?」

なんだと聞かれましても。でも、おいしそうに食べてくれるのは、心から嬉しいと思う。

「出汁――スープはイクシオン殿下の自動調理器で作ったものよ」

「そ、そうなのか!?」

『あの魔道具は、制作者が使い方をわかっていないだけだったのだな』

「みたいだ」

イクシオン殿下は素直に認めるので、笑いそうになった。

リゾットもどきと手抜きスープもお気に召していただけたようで、ホッと胸をなで下ろす。
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