ポンコツ令嬢に転生したら、もふもふから王子のメシウマ嫁に任命されました
「数日、ここを空ける。宮殿内の案内は、メルヴに命じておく。生活に必要な物は、今朝方追加で頼んでいる。昼には届くだろう。足りないものがあったら、メルヴに言っておけ」

「あの、私、一回家に帰りたいんだけれど」

「ダメだ」

「なんで?」

「ここでの生活で、不自由はさせない」

「答えになっていないから。家に帰れない不自由は、無視するわけ?」

「帰宅は許可できない。リュカオンに頼んで、転移するのも禁止だ」

「だから、なんで?」

「聖獣の乙女を、利用する者がいないとは言い切れないからだ」

「あー、なるほど」

私の家族でさえ、信用できないらしい。腑に落ちたけれど、不満は残る。

そんな私の肩をイクシオン殿下は掴み、幼子に言い含めるように真剣な眼差しを向けながら言った。

「しばらく、不自由させる。今は、我慢してくれ」

こっくり頷くと、イクシオン殿下は研究室から出て行った。
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