人生の待ち時間
「なんか、アホらしい……とりあえず、アイは川崎さんと、ちゃんと話をしなさい!」
気合いを入れられるように、マリコにバン!と背中を叩かれた。
「痛っ!!……はい……」
マリコに気合いを入れられたから、という訳でもないが、私はようやく、タカくんに訊きたかった事が訊けた。
「お花見の時、どうしてキスしたんですか?私と、ずっと会っているのは、どうしてですか?」
真っ直ぐにタカくんを見つめ、一言一言を噛み締めるように伝えた。
「アイちゃんの事は、ずっと気になっていて。桜の花びらを受け止めたアイちゃんを見た時、ああ、きれいだな、好きだなぁって思ったんだ。そう思ったら、身体が勝手に動いて、キス、してた」
私の視線を受け止めるように、私を見つめていたタカくんが、視線をわずかに逸らした。が、すぐに私の瞳に視線を戻した。
「呆然とするアイちゃんを見て、我に返った。とっさに謝ったけど、ただ雰囲気に流されてそうした訳じゃない。ちゃんと『好きだ』と伝えようと思ったのに、できなかった。タイミング悪く仕事は忙しくなるし、俺の気持ちをどう伝えればいいのか、アイちゃんは許してくれるのかとか……考える余裕をなくしていた」
タカくんにはいつも、大人の余裕を感じていたのに。でも、そうじゃないタカくんが可愛く見えた。